化粧は顔を飾る行為ですが、何を美しいと感じるかは一定ではありません。化粧品の歴史を見ると、材料と容器だけでなく、広告、仕事、映画、肌の色への価値判断が表れます。
装うことと社会的な評価
スミソニアンの化粧資料は、目に見える化粧が時代によって異なる評価を受けたことを示します。化粧する人をどう見るかは、性別、階層、職業の規範と関わります。現代の基準を過去にそのまま当てはめると、当時の意味を読み違えます。
映像が近づけた顔
写真や映画では顔が拡大され、日常とは異なる条件で見られます。照明や撮影の条件に応じた化粧があり、そこで見た顔を日々の装いに取り入れる動きもあります。スターの顔と、その人自身の生活の顔は分けて見る必要があります。
商品と選択肢
携帯できる容器、量産、店頭販売は化粧品の使い方を変えます。一方で、用意される色や広告のモデルが限られれば、誰の顔が標準とされるかという問題が残ります。商品の歴史は、選べた人と選べなかった人の歴史でもあります。
技法と表現
肌を整える、陰影を付ける、色を置く、線を引く。同じ技法でも、自然に見せたいのか、舞台で強調したいのかで目的は違います。メイクを顔の欠点を直すものだけと捉えず、意図を持って見せ方を作る表現として考えられます。
自分の顔に戻る
歴史を学ぶことは、流行に従うためだけではありません。色や形の基準が変わってきたと知ることで、現在の美しさにも複数の選択があると気づけます。
参考資料
Related Stories

BABYMETALはアイドルなのか? メタルと世界をつなぐ「距離」の設計
BABYMETALの歴史を、さくら学院、Kawaii Metal、海外ファン、MIKIKOの振付、KOBAMETALの売り方から読み解く。個別の接触を増やさず、ライブで親密さをつくる道を考えます。
Read
日本のファッション産地・工場ガイド――織物・ニット・染色・革を全国から
日本の服づくりは、素材を育てる場所、糸を作る工場、織る・編む産地、染色、縫製、革加工などの分業で成り立っています。ここでは全国の主な産地と、調べ始めるためのメーカー・産地団体を地域順に並べます。原料の採取地と製品の製造地は別です。
Read
欧米のポップスターとファンの距離――作品・衣装・参加の文化
欧米のポップスターを「遠いスター」と決めつけず、テイラー・スウィフトの衣装展示を事例に、作品を通じた親しさとファンの参加を考えます。
Readこの記事をシェア


