PR / アフィリエイト広告を含みます

NACK『MIMESIS, Vol. 1』ジャケットcrazy33 / NACKMIMESIS, Vol. 1Now on sale ↗

亀倉雄策とは?東京1964のポスターとロゴに見るデザインの力

亀倉雄策は、東京1964のエンブレムとポスター、グッドデザインのGマークなどを手がけたデザイナーです。代表作の色・形・余白と、JAGDA初代会長としての活動から、日本のグラフィックデザインに残した仕事を読み解きます。

Updated 

この記事をシェア

XでシェアLINEでシェア

48人のアーティストART48

あなたの中に、どの世界の見方がある?

12の質問で、美術・音楽・科学・哲学を横断する3人に出会う。約3分。

亀倉雄策とは?東京1964のポスターとロゴに見るデザインの力

一枚のエンブレムが変えたもの

1961年、東京オリンピック開幕の3年前に発表された第1号ポスター。赤い日の丸、金色の五輪、開催地と年を示す文字が、白い地に並びます。亀倉雄策(1915〜1997)は、限られた要素の大きさと間隔を整えることで、開催国と大会を一目で伝える構成をつくりました。

亀倉のエンブレムは単なる記念デザインではありません。それは戦後日本の「自己紹介」でした。廃墟から20年で高度成長を遂げた国家が、西洋に向かって「私たちはここにいる」と告げた造形の声明文です。

亀倉雄策の思想

圧倒的なシンプルさの哲学

亀倉は新建築工芸学院で学び、日本工房で『NIPPON』などのアートディレクションを手がけました。1960年には日本デザインセンター設立に参画し、1962年に亀倉デザイン研究室を設立しています。教育、編集、広告の実践が重なった経歴です(JAGDA・亀倉雄策の略歴と作品)。

東京1964のポスターを見ると、単純さは要素を減らすだけでは生まれないことがわかります。円と五輪の大きさ、文字の位置、周囲の余白が互いを支えています。形が少ないからこそ、一つひとつの比率が見る人の印象を左右します。

デザイナーの社会的役割の再定義

亀倉は1978年の日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)設立に参画し、初代会長を務めました。作品を制作するだけでなく、デザイナーが交流し、仕事を社会へ伝える組織の整備にも力を注いだ点が重要です。

オリンピックという国家的プロジェクトでデザインが中心的な役割を果たした事実は、後の世代のグラフィックデザイナー——田中一光、原研哉——が活躍する土台を作りました。

伝統の翻訳力

亀倉が問い続けたのは「日本的なものを、普遍的な言語で語れるか」という問いです。家紋のエッセンス(記号性・対称性・余白の論理)を、バウハウス的な構成主義の文法で表現することです。

これは「和風デザイン」ではなく「日本人がモダニズムを咀嚼した結果生まれた独自の造形言語」です。表層ではなく核心を引き出すこの翻訳力こそ、亀倉の最大の遺産です。

代表作の読解

1964年東京オリンピック・ポスター

赤の太陽(日本)と金の五輪(オリンピックです)。二つの記号を並置しただけのこの構成の強度は、「何を言わないか」の選択の精度によります。日本語もキャラクターも物語もない——それでいて、見た瞬間に「これは日本だ」と分かります。

グッドデザインのGマークとNTTのマーク

JAGDAの作品紹介には、1959年のグッドデザインのマークと、1985年のNTTのマークが掲載されています。東京1964のポスターと合わせて見ると、限られた線や面を、何度も使える識別の形へまとめる仕事が見えてきます。

ポスターは一枚の画面で情報を伝え、マークはさまざまな大きさや媒体で繰り返し使われます。両者を比べると、形の強さに加えて、周囲の情報とどう共存するかという設計の違いも読み取れます。

よくある質問(FAQ)

亀倉雄策はどんな時代背景の中でデザインを学びましたか?

新建築工芸学院で学んだ後、日本工房で編集・広告の実務に携わりました。「当時は教育機関がなく、すべて独学だった」という説明は正確ではありません。学校での学びと、印刷物を作る現場での経験の両方から捉えられます。

1964年オリンピックのエンブレムと現代の東京2020エンブレムの関係は?

東京2020大会の採用エンブレム「組市松紋」は、野老朝雄によるデザインです。亀倉の1964年版は日の丸と五輪を明快に配置し、2020年版は藍色の市松模様を組み合わせて構成しています。直接の継承と決めつけるより、それぞれが限られた色と幾何学で何を伝えるかを比べると、違いが見えてきます。

JAGDAとは何ですか?

日本グラフィックデザイナー協会(Japan Graphic Designers Association)の略称です。亀倉を中心に1978年に設立され、グラフィックデザインの職能倫理・社会的地位の向上・国際交流を目的としています。現在も日本最大のデザイン専門家団体として活動しています。

亀倉雄策の作品はどこで見られますか?

JAGDAの亀倉雄策賞ページでは代表作と略歴を、香港のM+の作家ページでは所蔵作品を確認できます。実物の鑑賞を考える場合は、所蔵と展示中を区別し、各館の展覧会情報を確認してください。

亀倉雄策が日本のデザイン史で重要な理由は何ですか?

三つの点で重要です。第一に、デザインを「装飾の補助業務」から「文化の核心にある専門職」へ格上げした先駆者だったことです。第二に、東洋(家紋・紋章の思想)と西洋(バウハウス・構成主義)を無理なく統合した独自の造形言語を確立したことです。第三に、後輩デザイナーたちが活躍できる制度的・文化的土台(JAGDA)を作ったことです。

関連記事:

EDITORIAL PROFILE

田村 祐大

NACK / 企画・編集

運営者
田村 祐大
学歴
京都芸術大学芸術学部卒業
活動
NACKの運営、Journal / Timesの企画・編集

岡山県出身、京都在住。暗号資産・Web3領域のプロダクトデザインに約7年間携わった後、NACKを始動。

アートを入口に、文化・経済・社会・テクノロジーの関係を読み解くNACK Journal / Timesを企画・編集している。

Related Stories

この記事をシェア

XでシェアLINEでシェア