without thought——意識しないデザイン
深澤直人(1956年生)は「without thought(思わず)」という概念を提唱したプロダクトデザイナーです。ユーザーが意識しなくても自然に正しく使えるデザイン——人間の無意識の行動パターンに寄り添うことで、説明書なしで機能するプロダクトを生み出します。
その代表例が傘立てです。傘の柄を引っ掛けられる溝のついた台は、「置いてください」と言わなくても人々が自然に傘を掛けます。これが「without thought」の哲学です。
思想の形成
アフォーダンスとデザイン
深澤の思想の根底には、心理学者ジェームズ・J・ギブソンが提唱した「アフォーダンス(環境が行為を誘発する性質)」の概念があります。物の形がそれ自体で使い方を示唆する——この考え方を深澤はデザインの方法論として精緻化しました。
IDEOとの出会い
1989年からIDEO(アメリカの著名デザインコンサルティング会社)のサンフランシスコオフィスで働いた経験が深澤の方法論に深く影響しました。ユーザー観察に基づくデザイン思考と、機能と形の一致を追求するアプローチをここで磨きました。
主要作品
MUJI壁掛けCDプレーヤー(1999年)——換気扇のコードを引いて回すイメージから生まれたCDプレーヤーです。コードを引くと音楽が流れます。このシンプルな行為と音楽の関係が、使うたびに小さな喜びを生みます。
±0(プラスマイナスゼロ)の家電シリーズ——深澤が立ち上げたブランドです。加湿器・扇風機・電気ストーブなど、余分な要素を削ぎ落とした佇まいの中に機能が凝縮されています。
nendo(佐藤オオキ)との違い——同世代の日本人デザイナーとして比較されることが多いですが、佐藤がアイデアの驚きや遊び心を大切にするのに対し、深澤は使用状況の自然さと素材の誠実さを追求します。
よくある質問(FAQ)
深澤直人はどのブランドのデザインを手がけていますか?
無印良品(MUJI)のアドバイザリーボードメンバーを務め多くの製品を手がけているほか、マルニ木工、エルメス、B&O(Bang & Olufsen)など日本国内外の多様なブランドと仕事をしています。
「without thought」を実践するにはどうすればいいですか?
深澤自身は「観察すること」を最初のステップとして挙げています。人々が無意識にとっている行動パターン、既存の製品に対してユーザーが自然に加える改変——こうした観察から「思わずそうしてしまう」形を発見するのです。
深澤直人とジャスパー・モリソンの「スーパーノーマル」とは何ですか?
2006年に深澤とイギリス人デザイナーのジャスパー・モリソンが提唱した概念です。「普通を超えた普通」——主張せず、使い込まれるほど愛着が増すプロダクトの在り方を指します。
深澤直人の代表作はどこで見られますか?
21_21 DESIGN SIGHT(東京、六本木)では定期的に関連展覧会が開催されます。また±0の製品は国内の生活雑貨店で購入・体験できます。
深澤直人が日本グッドデザイン賞の審査委員長を務めたのはいつですか?
2012年から2019年まで日本グッドデザイン賞の審査委員長を務めました。
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