神の手を繋がず——ミケランジェロが大理石に封印した「崇高」の本質

「大理石の内部にすでに彫刻がある。私の仕事はそれを取り出すことだ」——ミケランジェロは「作る」のではなく「見つける」と考えました。ダビデ像からシスティーナ礼拝堂天井画まで、ルネサンスの最高峰が封印した「崇高」の本質です。

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神の手を繋がず——ミケランジェロが大理石に封印した「崇高」の本質

大理石に封印された身体——ミケランジェロの探究

「大理石の中に像を見いだし、それを解放する」という趣旨の言葉は、ミケランジェロの彫刻観を示すものとして伝えられています。石へ外から形を貼りつけるのではなく、内部に潜む身体を彫り出すように制作しました。

ミケランジェロ・ブオナローティ(1475〜1564年)は、彫刻、絵画、建築、詩の分野で活動し、89歳まで制作を続けました。『ダビデ像』『ピエタ』、システィーナ礼拝堂の天井画と『最後の審判』は、ルネサンスを代表する作品です。

形成——フィレンツェとメディチ家

ギルランダイオの工房にて

ミケランジェロは1475年、トスカーナのカプレーゼに生まれました。13歳頃にフィレンツェの画家ドメニコ・ギルランダイオの工房へ入り、フレスコ画の技法を学びます。その後、メディチ家が設けた彫刻庭園で古代彫刻を研究しました。

若い才能はロレンツォ・デ・メディチに認められ、その庇護のもとで人文学者や詩人とも交流しました。古代彫刻とキリスト教思想の双方を学び、のちにローマ、フィレンツェ、ボローニャで大規模な制作を行います。

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主要作品の読解

『ダビデ像』(1501−1504年)

高さ約5.17メートルの白い大理石像です。旧約聖書の若者ダビデが、巨人ゴリアテとの戦いに臨む姿を表します。もとはフィレンツェ大聖堂の高所に置く計画でしたが、完成後は市庁舎前に設置されました。

従来のダビデ像が勝利後の姿を描くことが多いのに対し、ミケランジェロは戦いの直前を選びました。眉を寄せ、首筋と右手に力を込め、左肩には投石器を掛けています。静止した身体の中に、決断と緊張が蓄えられています。

システィーナ礼拝堂の天井画(1508〜1512年)

バチカンのシスティーナ礼拝堂天井には、『創世記』の九つの場面を中心に、預言者、巫女、祖先像、裸体像など数百の人物が描かれています。ミケランジェロは助手の力も借りながら、足場の上で約4年をかけて完成させました。

『アダムの創造』では、神とアダムが互いに腕を伸ばし、指先がわずかな距離を残して向き合います。触れる直前の空白が、生命が与えられる瞬間の緊張を生み、天井画全体を象徴するイメージになりました。

よくある質問(FAQ)

ミケランジェロとレオナルドはライバルだったのですか?

二人は同時代のフィレンツェで互いを強く意識していました。1504年にはヴェッキオ宮殿の同じ大広間に向かい合う壁画を依頼され、競争として注目されましたが、両作品とも完成しませんでした。性格や芸術観の違いを伝える逸話も残っています。

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『ダビデ像』は現在どこにありますか?

フィレンツェのアカデミア美術館に展示されています。ヴェッキオ宮殿前には複製が置かれ、当初の設置場所を示しています。

システィーナ礼拝堂の修復は何年かかりましたか?

天井画と『最後の審判』を対象とした大規模修復は、1980年から1994年まで段階的に行われました。すすや過去の補修を除去した結果、明るい色彩が現れ、その方法と解釈をめぐって議論も起きました。

ミケランジェロは自分を画家だと思っていたのですか?

本人は何より彫刻家であるという意識が強く、システィーナ礼拝堂の天井画を依頼された当初は抵抗しました。しかし絵画でも人体を彫刻のように立体的に捉え、のちには建築家としてサン・ピエトロ大聖堂の設計にも携わりました。

ミケランジェロの作品は今も見られますか?

フィレンツェのアカデミア美術館で『ダビデ像』、サン・ピエトロ大聖堂で『ピエタ』、バチカンのシスティーナ礼拝堂で天井画と『最後の審判』を見られます。フィレンツェ大聖堂付属美術館には未完の『フィレンツェのピエタ』があります。

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監修者: 田村 祐大

この記事の監修者

田村 祐大

NACK / 企画・編集

岡山県出身、京都在住、時々東京。京都芸術大学芸術学部卒業。暗号資産・Web3領域のプロダクトデザインに約7年間従事した後、NACKを始動。

アートを入口に、文化・経済・社会・テクノロジーの関係を読み解く「NACK Journal / Times」を企画・編集している。

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